その2・肩こりは絶対揉まないで下さい

今日は前回の続き

2月19日のブログ「肩こりは絶対揉まないで下さい(その1)」
なぜ肩こりが慢性化し 重症化して行き
大手チェーン揉み屋さんやマッサージ店に通っても通っても
気持ちいいのはその時だけで一向に直らないのかを説明しました。
少しご理解頂けたでしょうか?

では今日は どのようにして私がそれを知ったのか?
私の名づける「肩こりスパイラルの悪循環」の人々を
どんどん生み出しているような院の話しを。


私がまだ大阪で技を磨いていた修行時代の事です。
友人がバイトしている院に来て欲しいと頼まれ
2ヶ月だけと手伝いに行ったことがありました。

その中で私が担当した20代前半の女性は深く記憶に残りました。
治療を始めると
押しても押しても「まだ弱い」と言うので本当に驚きました。



私の皇法治療は力加減が自由
経絡の流れを良くする為に軽く押さえて流すこともできますが
元々は武道の当身(当身)でもあるので
強くしようと思えば本当に強くかけることも出来
大の男でも簡単に「まいった!」と言わせられるのですが…
八光流皇法指圧 経絡治療


その さして大柄でもないきゃしゃなお嬢さんが
「もっともっと強く揉んで欲しい」と言うのです。
かわいそうに… 習慣的に揉み過ぎて
彼女の肩も背中もカッチカチになってしまっていました。

その院の特徴は
とにかくグリッッグリッッ!と ねじり込む様に揉みこむのです。
げんこつでグリグリ!!
肘でグリグリ!!

前回説明したように
「筋繊維がもつれて癒着し しこりとなった部分」を
つぶすかのようにゴリゴリ グリグリ…

その時は流れにくくなって溜まっていた疲労物質が血液と共に流れるので
高まっていた筋肉の内圧が下がり柔らかくなります
けれどその時だけです。
更に筋繊維の癒着をひどくしてしまい
どんどん強く揉まないと流れないようになって行きます。

彼女も週2回のペースで通い続けているそうで
揉んでもらわないと耐えられないほどつらくなると言っていました。
「じゃ 忙しかったり用事があったりしてここに来られない時はどうするの?」と私が聞くと
「彼氏に噛んでもらう」と言うのです!
これにはつい笑ってしまいましたが、
「冗談ではなく本当だ」と言うのでさらにビックリです!!

こねて筋繊維をしこりだらけにしてしまった肩の筋肉は
歯くらいの強い刺激じゃないと感じなくなってしまったのでしょう。

彼女の症状と筋肉の特徴に驚いた私は
友人に手伝うと約束した2ヶ月の間
出来る限り患者さん達をよく観察しようと思いました。

すると驚くことに そんな人は彼女だけではないという事が分かって来ました。

そこに通ってくる患者さんは 程度の差こそあれ
来る方 来る方皆さん!!
そっくり同じような筋肉になってしまっていたのです!
まだ軽度な方でも
「あぁなるほど!ここに通い続けるうち必ずこうなって行くんだな…」
ということを強く確信できました。
これには ほんとうに強い衝撃を受けました。

2ヶ月の短い期間とはいえ
「そこに来る方々が皆 同じような肩や背中になっている」
という事実を観る事が出来たのは非常に貴重な経験でした。
ここでの経験があったからこそ今 私は皆さんに
「肩こりは絶対揉まないで下さい」と注意している訳です。


その院は、今から27年以上も前で一回数千円したし
物足らない人は「別料金で延長30分」などと
結構な値段を取っていたと記憶しています。

そこそこのお金を払って…
重症の肩こりを作ってもらい?
揉んでもらわないとどうしようもないようにされ??
通い続ける常連さんにされ???
「………何やってるんやろ」

「通い続ける? それって治ってないやん!」
「もう来なくて良いって事が治ったってことじゃないの?」
まだ若く純粋で 真剣に治療家を目指していた私には
「こんなことをしても良いのか?!」と恐ろしくさえ感じたものでした。


「私は ずっと来て欲しいんじゃない
 お金儲けじゃなく本当に治したい!
この院でのお手伝いは
私の目的であったものが さらに強い信念となる経験でした。

あれから長い月日がたちました。
私は今もやっぱり「ほんまに治したいねん!」と思いながら
研究も試行錯誤もしながら治療生活を続けています。

治ってしまうと当然 皆さんもうしばらくは来院されませんし…
再発しない為の日常の注意もしっかり指導して帰すので再発も少なく…

うちはちっとも儲かりません(笑)